毎年冬の時期に「新酒」と書かれた日本酒を目にする事が多いかと思います。
「なんだか新鮮そうだけど、実際、新酒って何?」
「普通のお酒と何が違うの?いつ買えるの?」
という方のために、毎年かならず複数種類の新酒を購入して飲んでいる筆者が、新酒についてかなり詳しくまとめました。
新酒は期間限定酒です。新酒の特徴や発売時期を抑えて、一期一会の日本酒を逃さないようにしましょう!
新酒とは
日本酒の新酒とは、その年内に製造・出荷された新しいお酒のことを指します。
この「年内」というのはちょっとややこしいのですが、1月〜12月ではなく、一般的な年度の区切り方4月〜翌3月でもなく、7月〜翌6月のことです。
つまり、今が2021年3月の場合、2020年7月~2021年3月にかけて製造・出荷されたお酒が新酒に当たります。
新酒の製造時期と出荷時期についてもう少し詳しく解説すると、日本酒を造っている酒蔵さんは年間を通して日本酒を出荷しているのですが、実はその日本酒の全ては冬場に仕込まれます。
(ただし一部の酒蔵さんでは冷蔵設備や醸造技術の発達により、1年を通してお酒を造っているところも増えているとのことです。)
仕込んでから貯蔵などをせずに、すぐ出荷されたものが新酒と呼ばれています。
新米をイメージするとわかりやすいです。
新米はその年の秋にとれた「新しいお米」のことで、とれてから時間が経過していない新鮮なお米ですよね。
このように日本酒もその年内に造られたばかりのものは「新しいお酒」=「新酒」と呼ばれます。
これに対して、冬に一気に製造された日本酒を蔵で寝かせたものが、夏酒や秋に発売されるひやおろしと呼ばれます。
ちなみに別名「しぼりたて」「初搾り」なども「新酒」と同じ意味です。
※厳密には、新酒の定義は複数あって曖昧です。
定義その1
・その年内に造った日本酒
(これは上記のとおりですね)
定義その2
・その年内に収穫されたお米で、
・その年内に造った日本酒
(→つまり、その年内に造ったということだけではなく、新米で造ったという条件も満たさなければならない)
その3
・その年内に収穫されたお米で
・その年内に造った日本酒で、
・さらに火入れもしていない
(→その2の条件に加えて火入れしていないという条件も満たさなければならない)
ただ、その1の条件である「その年内に製造・出荷された日本酒」であれば「新酒」と呼ばれるのであまり複雑に考えなくて良さそうです。
参考:広辞苑
日本酒・久保田をもっと楽しむWEBマガジン
新酒の味の特徴
新酒は造られたばかり、まさに「しぼりたて」です。
日本酒は生き物と言っても過言ではないくらい、貯蔵によって香りや味がどんどん変化していきます。
新酒はそのような変化がほとんど起こっていない非常に新鮮な状態の日本酒を味わうことができるのですね。
新酒の味の特徴は、
・フレッシュな爽快感
・全体的に澄んだ香りと味
・心地よいほんのりとした刺激
新酒の醍醐味は、フレッシュな爽快感ですね。
レモンやグレープフルーツとまでは行きませんが、柑橘系の爽やかなジュースにも似た爽快感があります。
一般的に日本酒は熟成されると酸味や刺激が落ち着いてきて口当たりがまろやかになっていくのですが、新酒は搾りたてのまだ少し荒々しい酸味や刺激をそのまま味わうことができます。
また、熟成されていないため全体的に透明感のある澄んだ味わいというのも特徴です。
新酒の発売時期
製造されてから夏を越していないものを新酒と呼ぶとお話しました。
飲む側としては「じゃあ一体いつ発売されるの?」ということが気になりますよね。
新酒の発売時期:11月~3月
新酒のゴールデン期間:12月~1月
早いものでは11月くらいから酒販店やネットショップで新酒の文字が目につくようになります。
ほとんどの新酒はゴールデン期間である12月~1月に発売されるので新酒を手に入れるならこの時期を狙うのがよいです。
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新酒の入手方法
新酒の入手方法は主に以下の2つです。
・酒販店(百貨店・デパート、地域の個人商店がおすすめ)
・ネット(予約購入がおすすめ)
酒販店は、百貨店やデパートなどのある程度高級なショッピングモールに入っている場所をおすすめします。
もしくは、澄んでいる地域の酒販店がおすすめです。
東京に澄んでいる方で近くにいい酒販店がない、どこがいいかわからないという方は、はせがわ酒店がおすすめです。
ネットで買う場合は、予約購入がおすすめです。店舗と比較して予約しやすいのがメリットですね。
発売される1ヶ月程度前から予約受付が始まることが多いので、時期が近づいてきたらお気に入り銘柄のショップをチェックしてみましょう。
新酒のおすすめ銘柄3選
春鹿 しぼりばな
引用:地酒のリエゾン楽天市場店
香り高くフルーティ。酒器に注いで鼻を近づけるとふわーっとした華やかな香りが漂います。
軽やかな甘味と旨味が感じられて、するすると飲んでしまいます。新酒らしいフレッシュで爽快な一品。
刈穂 春 Kawasemi
引用:京都の酒屋ふくしま
わずかに”おり”を含んだにごり系の新酒。甘酒+フルーティな香りと、甘酒のようなふくよかで華やかな味わいが特徴です。柔らかい甘味が口中に広がります。
パッケージのカワセミがとても可愛らしい一品。日本酒好きな方へのバレンタインデーやホワイトデーのプレゼントとしてもおすすめです。
こちらの銘柄、甘酒の延長のような感覚で飲めるので初心者にもおすすめです。春の家飲みを彩る日本酒として最適です。
関連記事>【初心者必見】🌸甘酒感覚で飲める春の家飲み日本酒🌸
澤乃井 しぼりたて
新酒を楽しむための注意点
新酒を楽しむための注意点としては「冷蔵保存して早めに飲み切ること」です。
日本酒には賞味期限がありません。
酒の特性上、長期間の保存に耐えうるものであるとされているからです。(参考:独立行政法人 国民生活センターHP)
ただし、美味しく飲める期間というものはあります。
例えば、熟す前の少し硬めのフレッシュなバナナを味わおうと思ったら、数日のうちに食べてしまいたいですよね。
新酒ならではのフレッシュ感を味わうためには、入手したら必ず冷蔵庫で保存して、できれば1ヶ月以内に飲み切ることをおすすめします。
まとめ
今回は新酒について詳しく解説しました。
・新酒とはその年内に造られた日本酒(7月~翌6月)
・年間に出荷される日本酒はすべて冬に造られる
・新酒とは要するに造られてから「夏を越していない日本酒」
・新酒の味の特徴はフレッシュ、澄んでいる、ちょっとした刺激
・新酒の発売時期は12月~1月がメイン
・新酒は冷蔵庫で保存して早めに飲み切る
・新酒は酒販店かネットで入手できる
新酒は冬の時期にしか味わえないとてもフレッシュで爽快感のある日本酒です。
旬のシーズンを逃さず、ぜひ飲んでみてください。