「生酛(きもと)」「山廃(やまはい)」って何?おいしいの?

こんにちは!
かりこです。
年間180本の四合瓶を飲む日本酒大好きな人です。

「日本酒が好きになってきたけど、選び方がよくわからない」
「いつもなんとなくで選んで失敗してしまう」

そんな日本酒初心者~中級者さん向けに日本酒の選び方やお勧め銘柄を紹介しています。

今日は「「生酛(きもと)」「山廃(やまはい)」って何?おいしいの?
という内容で記事を書いていこうと思います。

この記事を読めば生酛山廃という言葉の意味がわかり、より自分に合った日本酒を選べるようになります。初心者さんというよりは中級者さんで普段の日本酒に少し飽きたな、という方におすすめです。

目次

生酛(きもと)、山廃(やまはい)とは?

日本酒を選んでいて、生酛山廃という表示を見かけたことがある方もいると思います。
そもそも読み方がわからない、という方も多いのではないでしょうか?
生酛(きもと)
山廃(やまはい)
と読みます。

日本酒によくある「なんだかかっこいいけど意味がわからない言葉シリーズ」ですね笑
私も日本酒飲み始めの頃は意味がわからず(調べもせず、、)ふーん、なんかかっこいいわ、くらいにしか思っていませんでした。

生酛と山廃は日本酒の造り方のタイプを表します。

お酒を作る工程で自然界の乳酸菌を取り込む造り方をするタイプが生酛と山廃です。

これらは「生酛系酒母(しゅぼ)」と呼ばれる酒母で造られています。一方、乳酸を添加するのが「速醸系酒母」です。

なんだかいろんな単語が出てきて小難しいな、、、と感じた方も、わかりやすく解説するのでもう少し読み進めていってください。

酒母とは、日本酒を作る工程のうち発酵の重要な役割を担うものです。大量のお米をスムーズに発酵させるためには、大量の酵母(こうぼ)が必要になります。そこで、あらかじめ酵母を増殖させたものが酒母です。日本酒の「もと」になる栄養たっぷりの濃厚な混合物ですね。ここに麹とかさらに蒸し米とか水とかを入れていくことで日本酒が完成していきます。

この酒母の中では雑菌が繁殖してしまうとお酒の品質が悪くなってしまいます。栄養たっぷりなので雑菌も喜んで住み着いてしまうんですね。

そこで雑菌の繁殖を抑えるために活躍するのが乳酸です。乳酸は強い酸性を示し、雑菌が繁殖するのを防いでくれます。

このときに生酛と山廃の「生酛系酒母」は自然界に存在する乳酸菌に乳酸を作らせます。一方、「速醸系酒母」はダイレクトに乳酸を入れるんですね。

生酛系酒母は蔵の中に存在する乳酸菌が酒母で勝手に繁殖してくれるのを待たなければならないため時間がかかります。また、自然界の乳酸菌のはたらき具合はなかなかコントロールすることが難しく、造るごとに酒質を安定させることが難しいです。

一方、速醸系酒母は乳酸を添加することで手間を省き、さらに安定的に造ることが可能です。
これら2つの味の違いについては後ほど解説します。

さて、生酛、山廃とふつうのお酒との違いがわかったところで、生酛と山廃は何が違うの?ということについてです。

生酛は酒母を作るときに一生懸命かき混ぜたりすり潰したりする山卸し(やまおろし)という工程があるもの山廃はその工程を廃止したものです。

酒母は蒸し米、水、麹(こうじ)、酵母を混ぜたものです。白いどろどろの混合物という感じです。最初の段階だと蒸し米の粒がまだしっかり残っているのですが、生酛はこの粒をすり潰す作業を行います。すり潰すことで発酵をより促進させようというわけですね。この作業を山卸し(やまおろし)と呼ぶのですが、かなり重労働だそうです。。。

そんな大変な作業を入れているんだからきっと何か特別な成分が生まれるんだ!と思われるかもしれませんが、実はこのすり潰す作業をやってもやらなくても成分に違いがないという研究結果が出ているそうで、今では山廃の方が浸透しているとのことです。

つまり、生酛・山廃とふつうのお酒を比べると違いがあるけれど、生酛と山廃を比べるとあまり違いがないということですね。

ふつうのお酒とどんな味の違いがあるの?

市販されている日本酒の約90%が生酛系酒母ではなく速醸系酒母です。瓶のラベルに何も書かれていなかったら高確率で速醸系酒母ですね。生酛系酒母は手間と時間がかかる上、安定的に製造するのが難しいためですね。

では生酛、山廃(生酛系酒母で造られたお酒)はふつうのお酒(速醸系酒母で造られたお酒)と比べるとどんな味の違いがあるのでしょうか?

ひとくくりにはできませんが、複雑な味になる傾向があります

なぜかというと、自然界に存在する乳酸菌が酒母の中で活動をしてくれて、雑菌の繁殖を防ぐ乳酸を作ってくれるわけなのですがその過程でいろいろな副産物も生まれます。
この副産物が複雑な味わいを醸し出すんですね。また、乳酸菌の種類によっては酸味が強くなることもあります。

蔵ごと、銘柄ごとに個性が出やすい傾向があるかなという印象です。

一方、速醸系はそういった副産物が生成されないので、味わいは淡麗というかすっきりしたものになる傾向があります。

おすすめ銘柄

おいしかったおすすめの山廃銘柄を紹介します。

雪の茅舎 山廃(齋彌酒造店 / 秋田)です。

この一本を飲んだときに、生酛、山廃に対するイメージががらりと変わりました。
仕事で出張に行った時の夜、ふらっと入った居酒屋にこの雪の茅舎 山廃くらいしかまともな日本酒がなく仕方なく注文したのですが、飲んでみると「え、おいしい!」と感じました。

生酛や山廃はたまに「木っぽい香り」がすることがあります。必ずしも生酛や山廃に限ったことではないですが、昔ながらの造り方なのでお酒造りに使うタンクも木でできたものを使うことが多いのかもしれません。
個人的にはあの木っぽい香りが苦手なので生酛と山廃は避けている時期がありました。
でもこの雪の茅舎 山廃は香りと味のバランスが取れていてとても飲みやすい銘柄でした。
全体のバランスが取れているところにほんのり主張してくる酸味や複雑な旨味も感じます。
これらは山廃ならではのものかと思います。

よーく冷やして飲むと甘味が少しだけ抑えられる分、酸味がもう少し際立ってきてとてもおいしいです。
おちょこよりも冷やしたワイングラスで飲むのがおすすめです!

まとめ

以上、今回は生酛と山廃について解説してきました。

・生酛:
 生酛系酒母(自然界の乳酸菌使用)で造る
 山卸し(すりつぶす作業。重労働)を行う
・山廃:
 生酛系酒母で造る
 山卸しを行わない
・ふつうのお酒:
 速醸系酒母(乳酸添加)で造る

・生酛と山廃は複雑な味になる傾向がある。

・おすすめ銘柄は雪の茅舎 山廃

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バランスが整っているところにほんのり酸味や複雑な旨味が効いていてとても飲みやすく山廃を楽しめる銘柄。

生酛、山廃にはひとくくりにできない個性や複雑さがあり、日本酒のより深い楽しみ方ができる特徴だと思います。初心者さんというよりは中級者さん向けかもしれませんね。普段の日本酒に飽きたら是非飲んでみてください!

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