日本酒の種類っていろいろあってよくわからないですよね。
純米大吟醸、純米吟醸、吟醸、本醸造、、、など。。
今回はその中でも「純米吟醸」について詳しく解説します。
純米吟醸とは?について網羅的に解説しつつも、マニアックになりすぎないように
「結局どんな味がするの?」
「結局どの銘柄がおいしいの?」
という声に答えていきます。
この記事を読めばこんな事がわかります。
- 純米吟醸とは
- 純米吟醸の位置づけ
- 純米吟醸ってどんな味がするの?
- 純米吟醸の失敗しない銘柄
日本酒選びにとても役立つと思うのでぜひ参考にして下さい。
純米吟醸は日本酒の種類の一つ
純米吟醸とは、特定名称酒の一つです。
特定名称酒とは、ある一定の原料、製法の規定をクリアした日本酒のことです。
簡単に表現すると「良い日本酒」というイメージです。
具体的には以下の条件を満たした日本酒が特定名称酒です。
ただ、ここはマニアックな話なので覚えなくてOKです。
- 麹米(こうじまい)の使用割合が15%以上であること
- 原料米は農産物検査法によって3等以上に格付けされたもの、もしくはそれに相当する米であること
・麹米(こうじまい)の使用割合が15%以上であること
・原料米は農産物検査法によって3等以上に格付けされたもの、もしくはそれに相当する米であること
ただ、特定名称酒は特別な日本酒というわけではありません。
実は日本酒好きな方が普段飲んでいる日本酒は、ほぼ特定名称酒と言って良いくらいです。
純米大吟醸、純米吟醸、吟醸、本醸造などはすべて特定名称酒にあたります。
特定名称酒は次の8種類です。
特定名称酒8種類:
- 純米大吟醸
- 純米吟醸
- 特別純米
- 純米
- 大吟醸
- 吟醸
- 特別本醸造
- 本醸造
純米、本醸造、吟醸とは?
純米吟醸は、日本酒の種類のなかでどんな位置づけなの?ということを知る上で、この3つの用語「純米」「本醸造」「吟醸」を知っておくとわかりやすいです。
「純米」「本醸造」「吟醸」という用語は特定名称酒8種類をさらに3つにまとめた表現で、簡単に言うと以下のとおりです。
- 純米酒=お米と米こうじを原料として造られた日本酒
- 本醸造酒=お米と米こうじと醸造アルコールを原料として造られた日本酒
- 吟醸酒=吟醸香(ぎんじょうか)と呼ばれる華やかな香りを引き出す製法で造られた日本酒
お気づきの方もいるかも知れませんが、純米と本醸造というのは原料による分類を表す用語です。一方、吟醸というのは製法による分類を表す用語です。
なので、原料を表す純米という用語と、製法を表す吟醸という用語は両立します。
例えば純米吟醸は純米酒であると同時に吟醸酒でもあります。つまり純米吟醸は「お米と米こうじだけ」を原料として「吟醸造り」で造られた日本酒ということです。
「じゃあ、他の日本酒はどういう意味なの?大吟醸とか、、」
「一覧でわかりやすくまとめてほしい」
そんな方は下記の記事を参考にして下さい。
参考記事>【ひと目で分かる】特定名称酒8タイプ早見表。これで完璧!日本酒分類
純米吟醸の特徴
純米吟醸は以下のような特徴があります。
純米吟醸の特徴:
- 香り高くフルーティ
- 味はやや濃厚〜ややさっぱり目まで幅がある
- 適度なふくよかさ(複雑な甘味や旨味)がある
純米吟醸は吟醸造り由来の華やかでフルーティな香りが強く感じられます。
また、純米吟醸の味は精米歩合によって異なります。精米歩合が高い銘柄はふくよかで濃厚な味、精米歩合が低い銘柄は雑味がなく綺麗な味です。
フルーティな香りを楽しみたい、綺麗めで澄んだ味が好きだけど、適度な甘味や旨味も味わいたいという方は純米吟醸を選ぶのがおすすめです。
純米吟醸と吟醸の違い
純米吟醸と吟醸の違いは、原材料の違いです。
純米吟醸と吟醸の違い:
- 純米吟醸=米、米こうじ
- 吟醸 =米、米こうじ、醸造アルコール
純米吟醸は原材料に米と米こうじ(日本酒に欠かせない発酵を担う菌)のみを使用して造られた日本酒です。純米吟醸という名前に「純米」という言葉がついていることから連想できますね。
一方、吟醸は原材料に米と米こうじに加えて醸造アルコールという成分を使用して造られた日本酒です。吟醸は名前に「純米」という言葉がついていません。純米という言葉がついていない特定名称酒は米と米こうじに加えて醸造アルコールが添加されています。
ちなみにこの醸造アルコールは悪いものではなく、酒蔵さんが思った通りの酒質になるように調整する目的で添加されます。醸造アルコールを添加することで安定した酒質を提供できるのですね。
では、純米吟醸と吟醸は飲んだときにどのような違いがあるのでしょうか?
純米吟醸と吟醸の味の違い:
- 純米吟醸=適度なふくよかさ(複雑な甘味や旨味)
- 吟醸 =さっぱり目
純米吟醸は米と米こうじのみで造られているので、お米由来のしっかりとした甘味と旨味を感じられる日本酒が多いです。
一方、吟醸は醸造アルコールを添加しているためさっぱり目な味わいの日本酒が多いです。
純米吟醸と吟醸とで迷った場合、お米由来の適度な甘味と旨味を感じたい方は純米吟醸、さっぱり目の味が好きな方は吟醸を選ぶと良いですね。
純米吟醸と純米大吟醸の違い
純米吟醸と純米大吟醸の違いは精米歩合の違いです。
純米吟醸と純米大吟醸の違い:
- 純米吟醸 =60%以下
- 純米大吟醸=50%以下
精米歩合(せいまいぶあい)とは、日本酒づくりに使うお米をどのくらい削ったかという割合を表します。
まったく削っていない玄米の状態は精米歩合100%、半分削った状態は精米歩合50%です。
純米吟醸の精米歩合は60%以下です。
一方、純米大吟醸の精米歩合は50%以下です。
つまり純米吟醸は純米大吟醸よりもお米を削っていないということです。
では、純米吟醸と純米大吟醸は飲んだときにどのような違いがあるのでしょうか?
純米吟醸と純米大吟醸の味の違い:
- 純米吟醸 =適度なふくよかさ(複雑な甘味や旨味)
- 純米大吟醸=澄んで綺麗な味
一般的に、より削ったお米で造った日本酒のほうが「綺麗」な味になります。
「綺麗」な味とは、雑味がないということです。
では、削れば削るほど美味しくなるじゃん、と思われるかもしれませんが一概にそうではありません。
お米を削れば削るほど甘味や旨味といったふくよかさも削ぎ落とされていく傾向があります。
参考記事 >削ってないとだめ?精米歩合と味の関係
純米吟醸と純米大吟醸とで迷った場合、お米由来の適度なふくよかさ(複雑な甘味や旨味)を感じたい方は純米吟醸、澄んで綺麗な味が好きな方は純米大吟醸を選ぶと良いですね。
失敗しない純米吟醸ランキングTOP3
年間約180本の日本酒を飲む筆者が数十種類の純米吟醸酒を飲み比べた結果、これを選べば失敗しない、という銘柄TOP3をピックアップしました。
1位:AKABU(あかぶ)
AKABU(あかぶ)純米吟醸 赤武酒造 / 岩手
香りの強さ:★★★★☆
味の濃さ :★★★★☆
甘味 :★★★★☆
旨味 :★★★☆☆
酸味 :★★★☆☆
キレ :★★★★☆
「間違いのないうっとり甘うま系。後味はさっぱり」
・濃いめの甘味と旨味にうっとり
濃い目の甘味と旨味を感じます。口に含んだ瞬間は意外にもさっぱりとしていますが、時間差で濃い甘味と旨味が一緒にやってきます。口中がふくよかな風味で満たされ、うっとりとした飲み心地です。。。
・香りは強めでフルーティ
甘い味がするんだろうな、と期待させてくれる強めの香りが漂います。甘めのフルーティ系です。
・濃い味なのに後味さっぱり
しっかりした甘味と旨味がある一方、喉元を過ぎるとすっと消えるような感覚です。後味がさっぱりしているので飲み飽きしません。
AKABUは純米吟醸の良いところが詰まっています。
濃いめの甘味、フルーティな香り。
雑味がないので飲みやすく、とにかく純米吟醸の日本酒を飲んでみたいときはAKABUを選んでおけば間違いありません。
AKABU(あかぶ)純米吟醸 赤武酒造 / 岩手
2位:裏春鹿(うらはるしか)
裏春鹿(うらはるしか) 今西清兵衛商店 / 奈良
香りの強さ:★★☆☆☆
味の濃さ :★★★★☆
甘味 :★★★★☆
旨味 :★★★★☆
酸味 :★☆☆☆☆
キレ :★☆☆☆☆
「しっかり甘うま。後味も濃厚」
・しっかりとした甘味と旨味が特徴
しっかり、どっしりとした甘味と旨味です。
味が濃いとはいえ、雑味はないので飲みやすいです。
・飲み干したあとに舌に味わいが残る
キレとは反対に、飲み干したあとに甘味と旨味が良い余韻として残ります。キレが良いばかりが美味しいというわけではなく、味わいが強いタイプはこのような余韻を味わうというのも楽しみ方の一つです。
・香りはほわんとフルーティ
吟醸造り由来の華やかな香りです。香りの強さはそこまで強くはなく、濃い味にそっと寄り添うくらいのイメージです。
3位:豊能梅(とよのうめ)
豊能梅(とよのうめ) 高木酒造 / 高知
香りの強さ:★★☆☆☆
味の濃さ :★★★★☆
甘味 :★★★★☆
旨味 :★★★☆☆
酸味 :★☆☆☆☆
キレ :★★★★☆
「黒糖のような甘さと最後のアルコール香」
・黒糖のような甘味
どこか香ばしさのある甘さが特徴的。黒糖にも似た甘味です。
口に含むとコクのある甘さが濃厚に感じられます。
・飲み口は甘々、一方でキレもなかなか良い
飲み始めは「甘い!」と感じますが、その甘さはすっと自然に消えます。
・最後は澄んだアルコール香が残る
最後には甘さはすっと消えて、透明感のあるアルコール香が残ります。
「アルコールの香り」というとツンと刺激がありそうなイメージだと思います。
でも全然違うんです。
ツンとした刺激は殆ど感じず、澄んだ風味が鼻に抜けるんです。味わいがコクのある甘味なので、ここに澄んだアルコールの風味が感じられることで最後には爽快感が残ります。
香ばしくコクのある甘味と、最後の透明感を感じたい方は好きなタイプかも知れません。
豊能梅(とよのうめ) 高木酒造 / 高知
純米吟醸のおすすめの飲み方
純米吟醸は冷蔵庫でよく冷やして飲むのがおすすめです。
純米吟醸のやや澄んだ綺麗めの味は冷たい状態と相性が良いです。冷たい状態のほうがより綺麗さを楽しめます。また、吟醸造り由来の華やかでフルーティな香りは冷えた状態でも十分感じることができます。
ぜひ冷蔵庫でよく冷やしてから飲んで下さい。
まとめ
純米吟醸について詳しく解説しました。
- 純米吟醸は日本酒の種類の一つ
- 純米酒=お米と米こうじだけで造られた日本酒
- 本醸造酒=お米と米こうじと醸造アルコールで造られた日本酒
- 吟醸酒=吟醸香(ぎんじょうか)と呼ばれる華やかな香りを引き出す製法で造られた日本酒
- 純米吟醸の特徴
- 香り高くフルーティ
- 味はやや濃厚~ややさっぱり目まで幅がある
- 適度なふくよかさ(複雑な甘味や旨味)がある
- 純米吟醸と吟醸の違い:原材料の違い
- 純米吟醸=米、米こうじ
- 吟醸=米、米こうじ、醸造アルコール
- 純米吟醸の方がお米由来の甘味と旨味がある
- 吟醸の方が全体的にすっきり目
- 純米吟醸と純米大吟醸の違い:精米歩合の違い
- 純米吟醸=60%以下
- 純米大吟醸=50%以下
- 純米吟醸の方がお米由来の複雑な風味がある
- 純米大吟醸のほうが澄んで綺麗な風味
- 純米吟醸ランキングTOP3
- 1位 AKABU(あかぶ)
- 2位 裏春鹿(うらはるしか)
- 3位 豊能梅(とよのうめ)
- 純米吟醸はよく冷やして飲むのがおすすめ
この記事を参考にお気に入りの純米吟醸酒を選んで下さい。